147138from 飯野恵太
横浜オフィスより

ある気づきを得るために実施された、
すごく面白いゲームがあるの知っていますか?

「頭の中のメロディ」っていう実験です。

出題者と回答者に分かれて行うのですが、
出題者は、すごく有名な曲のリズムを
手で叩くんです。

例えば、「ぞうさん」とか「ちょうちょ」とか
「ハッピーバースデイ」の歌とか。

そして、その手拍子だけを聞いて、
回答者はなんの曲なのかを当てるというゲームです。

ゲームの中身自体は、すごく単純で
面白味もないと思ったかもしれませんが、
このゲームが、興味深いのは、
そのあとなんです。

出題者は、自分でリズムを手拍子したあとに、
その手拍子を聞いた回答者が曲名を当てることの
できる確率を予想するんです。

例えば、10曲、手拍子をしたら、
回答者はそのうち、何曲をあてることができるか?
という予想です。

これをやると、たいていの出題者は、
50%とか、80%を予想します。

実際に、僕は前職で会社勤めしているときに、
これを会社のグループワークで実施したのですが、
ほとんどの出題者はその回答率を50%以上と
予想しました。

しかし、その実際の回答率をみると
驚くべき結果になるんです。

たいていの場合は、0%。
よくても5〜10%くらいです。

これ、先生もやってもらうとわかるのですが、
ある曲のリズムだけを手拍子されても
何の曲だかまっっったくわからないんです。

びっくりするくらいわからないんです。

たぶん、実際に手拍子を聞いたら、
こんなのわかるわけないじゃん!
って思うんです。

にも関わらず、出題者は
50%とか、60%の確率で
回答者は正解すると予想するんです。

すごいギャップですよね?
なんでだと思いますか?

それは、出題者の頭の中には、
その曲のメロディが流れているからなんです。

例えば、ぞうさんを出題する時に、
ぞうさんのメロディを頭に流さずに、
そのリズムを打つことって不可能ですよね。

かならず、ぞ〜うさん♫ぞ〜うさん♫と
頭の中にメロディが流れます。

だから、自分の手拍子だけを聞いている人の
世界を想像することができないんです。

これってすごく面白いですよね。

これは、話してと聞き手の間でも
よく起こることなんです。

先生が何かを患者さんに話すときに、
相手の立場になって伝えるということは、
極めて難しいのです。

筋膜リリースを説明しようと思っても、
先生は筋膜リリースを既に知っているので、
全くの無知の人の頭の中を想像するのが
極めて難しいんです。

ぞうさんのメロディを打っている
出題者と同じ状況です。

普通に話そうとすると、
かなり注意して意識をしたとしても、
相手をおきざりにしてしまうことがあるんです。

先生はさも当たり前に、話しているので、
患者さんは聞き返すこともできなかったりするんです。

先生は、この事実は絶対に忘れずに
受け止めるべきなんです。

自分の頭の中にだけ「メロディ」が
流れているということを。

広告をするときでも、患者さんに治療の価値を伝えるときでも、
あなたの頭のなかにだけ、いつもメロディが流れています。

わかりやすく説明したつもりでも、
患者さんにとっては、意味不明な
打音だけが鳴り響いてることがあるのです。

相手の立場になるって、とても重要な事ですが、
実践するのってとてもむずかしいことなんですね。

それを理解しておくことは、
コミュニケーションにおいて
すごく大事なことなんです。