from飯野恵太
新宿のコワーキングスペースより

ヒカルの碁を、全巻買ったというお話を
書きましたが、そこから囲碁に
興味を持ち始めて、
色々調べ始めたんです。

囲碁も将棋もそうですが、
プロ棋士がいます。

でも、このプロ棋士の
収入ってどこから生み出されているのかな?
って疑問に思ったんです。

プロ野球とかなら、
わかりやすいですよね。

スタジアムに観戦に来る
お客さんが、チケットを払ってくれたり、
グッズを買ってくれるので、
それが収益源となって、
彼らのプロ選手に払われていますよね。

でも、囲碁や将棋の手合って、
観客はいません。

集中して競技をするので、
部外者は立ち入ることすらできません。

手合をお金を払って、
観戦する人っていないんです。

囲碁、将棋のファンからは、
直接お金を取れないんですね。

じゃあ、どうやって収入を得ているのか?

それは、企業がスポンサーになって
大会を主催してくれるからなんです。

例えば、将棋の名人戦は、
朝日新聞、毎日新聞が主催しているのですが、
彼らが、優勝賞金や対局料を払っているので、
成り立つわけなんですね。

ここで気になるのが、
これらの企業が
スポンサーをするメリットは何?
ということです。

たとえば、サッカーの
キリンチャレンジカップみたいに、
大会の名前に企業名が
冠せられるわけではないので、
広告効果ってほとんど得られないですよね。

でも、毎年毎年、
将棋にも囲碁の大会にも
スポンサーはつきます。

なんのために、
やっているのか?

彼らは、プロ棋士の手合で
できあがった、「棋譜」を
コンテンツとして価値を見出しているから、
そこに投資をしているんですね。

棋譜っていうのは、誰がどこに
どの駒を打ったか?というのが
記録されているやつです。

大会を主催することで、
その棋譜を掲載する権利を買っているんですね。

で、朝日新聞は、名人戦の
棋譜を自分の新聞に載せるわけです。

だから、名人戦の棋譜を見たい
将棋ファンは、朝日新聞を買う。

こういう仕組みなんですね。

だから、将棋の大会のスポンサーって
ほぼ100%新聞社なんです。

囲碁、将棋の世界って
小さい頃から、めちゃくちゃカッコイイと
思っていて、羽生さんとかも
すごい好きなんですが、
すごく危ういビジネスでもあるなと思いました。

そこに価値を感じて、
お金を払ってくれるのが、
新聞社しかいないからです。

ただでさえ、新聞の購読者は減っていて、
将来的には、新聞自体の存在も
危ういですよね。

そうなったときに、
囲碁、将棋のプロの業界はどうなるのか。

これを考えていて、
ますます、ビジネスにおける
「顧客との関係性」の
重要性を感じました。

ビジネスにおいて、
利益をもたらしてくれるのは、
顧客だけです。

囲碁、将棋の連盟にとって
直接の顧客は、新聞社だけです。

すっごい言い方悪いですが、
下請け会社みたいな状態になっています。

新聞に提供するコンテンツを作る会社みたいな。

下請け会社でやっていると、
営業はしなくてもいい分、
収益はあがらないし、
発注会社が潰れたら終わりですから、
すごく危うい状態ですよね。

事実、プロ棋士の平均年収って400万円ほどらしいです。

羽生さんみたいなトッププロは、
1億近く稼ぎますが、そうでない方は、
一般のサラリーマンよりも厳しい収入に
なっていることもあるのです。

新聞社だけに依存するのではなく、
その他のスポンサーや、
直接のファンからの課金など、
収益の柱を作ることができたら、
プロ棋士の収入も増えるし、
この文化を守っていくことができるのにな!と
思ったのでした。

どんなビジネスでも、自分で顧客を見つけ、
集める能力というのは、めちゃくちゃ大事だなと
改めて思ったのです。