ダースベーダーの歯ブラシ

from 飯野恵太
自宅オフィスより

台風がすごいですね。
朝オフィスに向かおうとしたのですが、
雨と風が強すぎて、傘もさせないような状態だったので、
あきらめました。

自宅からメルマガを書きます。

マラソンで、増田明美さんの解説が
ものすごく好評だったらしいんです。

選手の、家族のことや趣味、交友関係といった
細かいデータを織り交ぜて、解説しているのです。

選手の大学の専攻や、
趣味のヒップホップ、
三つ子だけど、1センチずつ違うとか。

そういう細かい情報を出すことで、
見ている側は、その選手に感情移入して、
日本人選手が画面に写ってなくても、
マラソン中継を楽しめたというのです。

実は、増田明美さんのやっていた
「細部を伝える」ということは
とても重要なことなのです。

これは、「ダースベーダーの歯ブラシ」と
呼ばれるもので、実は、僕が大学生のエントリーシートを
書かせる際にも、気をつけるように言っていることです。
昔、母親の養育権を争う模擬裁判と通して、
こんな実験が行われたんです。
母親の子供育て方について、
概要だけを伝えた場合と、本筋とは関係ない「細部」を
伝えた場合だと、陪審員が、その母親に
養育権を許可する確率が圧倒的に変わったのです。
たとえば、一方では、その母親は、
子供の歯ブラシを毎日手伝ってあげていた。とだけ書くのですが、

細部を伝えた場合には、
子供の歯ブラシを毎日手伝ってあげていた。そして、
その歯ブラシは子供に人気のダースベーダーの歯ブラシだった。

と伝えたのです。
歯ブラシを放置をしていたのか?
歯ブラシを手伝っていたか?は
大事な情報ですが、

歯ブラシの種類なんて、養育権を争う際に、
全く関係ありませんよね?
しかし、陪審員の評価はそうではなかったのです。
意味のない細部にも、実は、
人の心を強力に動かす
パワーがあるんです。
なぜなら、その細部についての情報を得ることで、
その情景が浮かび、「共感」を得るからです。
マラソン選手だけ映されるよりも、
その選手が三つ子で、しかも1センチずつ違うっていう情報がある方が、
スポーツ観戦も楽しめるんです。

だから、先生についての「細部」も
伝えていくべきなのです。

趣味や、交友関係、どうでもいい日常の生活。

意味のない細部が、患者さんとの共感を生み出すのです。

ニュースレター、ブログ、メルマガ、DM
先生の細部を伝える機会はいくらでもあるのですから。