from飯野恵太
横浜オフィスより

昔、電車通勤をしていた時、
よく思うことがありました。

誰が次の駅で降りるか、
わかる能力が欲しい!と。

僕は、当時、鬼のように混むと言われる
メトロ東西線を使っていたので、
本当に朝の通勤が辛かったんです。

ある日なんて、ストレスのたまった乗客同士で
ケンカが発生したことがありましたからね。

一人が、電車の揺れで、ぐらついたときに、
となりの青年の足を踏んでしまったらしく、
踏まれた青年が、怒って、そのおじさんのスネを
蹴ったという事件が。

それで、蹴られたおじさんはバチ切れして、
怒声が飛び交ったんですけど、
その怒声に腹を立てた全く関係ないおじさんが、
そのケンカに参戦してきたんです。

バトンタッチするかのように、足を蹴った青年は
途中で逃げ出して、あとは、関係のないおじさん同士が
どなりあう地獄絵図。

通勤電車なんて、乗りたくない!!と
心から誓った事件でした。
とにかく、毎日もみくちゃにされるのは、
本当に嫌だったので、次に降りる人を
確実に知れるすべを知りたい!!と
強く思っていた時期があったんです。

そんな、自分勝手な僕の欲望を
もっともっと善意に満ちた形で、
実現するサービスを始めようとしているのが、
東京メトロとLINEです。

彼らは、
妊婦の「座りたい」と
乗客の「譲りたい」を
つなぐ実験を始めようとしているのです。

「アンドハンド」というプロジェクトで、
妊婦自身が「座席に座りたい」とLINEアカウント宛に送信することで、
周囲の「サポーター」にメッセージを送ることができるんですね。

LINE経由でメッセージを受信した「サポーター」は、
「&HAND」のLINEアカウント宛の返信によって
座席位置などを伝えて、妊婦に座席を譲ることができる。

こういうサービスです。

妻と電車に乗っていて感じたのですが、
妊娠をしていても、初期の頃って
お腹が目立つほど大きくならないので、
周囲の人は気づきにくいんですよね。

だから、そういう困っている人が
効率的に、座席に座る機会を増やすために、
すごく素敵な試みだなと思いました。

でも、このプロジェクトに対して
ニュースへのコメントを見ていたら、
好意的なコメントもある一方で、
批判的なコメントも多かったんです。

・そんなサービスあったところで、使えない
・LINEなんて使わずに、やさしさがあればいい
・こんなことせずに、単純に優先席は譲りましょうと呼びかければいい

他にも色んな批判的なコメントがあったのですが、
おおむね、このサービスじゃ欠陥が多いし、
根付かない。という声が多かったのです。

これらのコメントを読んでいて
だから、「テストするんじゃねーか!この野郎!!」と
思いました。

どんなこともやる前から批判ばっかりして、
挑戦しなかったら、変化は起こらないですよね。
何も進歩していかないわけです。

完璧な人間なんていないですし、
完璧なサービスも、仕組みもないので、
どんなものを作っても欠点はあるでしょうし、
失敗することだってあるはずです。

このアンドハンドのプロジェクトだって、
実際にやってみたら、問題ばかりで
使い物にならないということもあるでしょう。

でもそれも、結局、やってみなければわかりません。

やるからこそ、問題がわかるし、
改善点が見えてくるんです。

やる前から批判ばかりして
何も変わろうとしない。

そういう奴にだけはなりたくない。

改めてそう思ったのです。