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from飯野恵太
みなとみらい線の電車内より
週末の日曜日に、妻とランチを食べに行きました。
妻が、ちょっと前から気になっていた焼肉屋さんのランチに食べに行ったのですが、
このお店は、いつも行列ができてなかなか入れないらしいのです。

たまたま僕らが行った時は、運良く席が空いてお目当ての焼き肉ランチを
食べることができたのです。

ここは、噂通りにおいしく出てきたハラミは、
感動するほと美味しかったんです。
でも、このお店がいつも行列が絶えない理由は
お肉の美味しさだけじゃないことが、食事中に判明しました。
僕らが食べている席からは、厨房が覗き込めるようになっていて、
すぐとなりで店長さんが、調理をしていたのですが、
食事の終盤になると、その店長さんが、

「入店するときにちょっと見たんですけど、
もしかして奥さんは妊娠中ですか?」

と声をかけてくれたのです。

そして、妊娠中の女性は「ハツ」を食べると、
元気に子供が埋めるんですよ!というアドバイスとか、
美味しいお肉の焼き方を色々教えてくれました。

しかも、アドバイスだけではなく、サービスといって
おいしそうな「ハツ」を二切れサービスしてくれたのです。

実際、そのハツはすごく美味しかったのですが、
それ以上にこの店長さんのホスピタリティーに感動しました。

もう、半永久的にリピートすることを心に誓いましたもん。
今日はランチだったけど、夜も来たいって思いましたよね。

この店長さんは、たったハツ2切れの投資で、ひょっとすると、
以降数十万以上の売り上げを手に入れたかもしれません。

それくらい感動しましたし、たくさん、このお店に行きたいなって思いました。

それに、僕らにだけじゃなく、来ているお客さんに逐一声をかけて
頻繁にコミュニケーションを取っているんです。

いつぶりですねー!とか、
随分やせましたね!とか、
さっき友達の◯◯さんが来てましたよー!とか、、、

お客さんはもちろんみんな笑顔で、
その店長さんに「ひいき」にされていることが
とても嬉しそうでした。

その様子を見ていて、僕は確信したのですが、
この店長はマーケターとしても相当なやり手だったのです。


はっきりいって、飲食店のランチなんて、ほとんど収益なんて出ないんですよ。
ましてや、高級な肉を取り扱う焼肉屋さんが、800円とか1000円とかで
ランチを提供してるんです。

収益どころか、人件費とか考えるとヘタすると赤字が出ている可能性があります。

しかし、この店長は、この利益の出ないランチ営業を、
フロントエンドとしての顧客との関係構築、
そして、常連客との関係維持の場として使っていたのです。

実際、このお店は、日曜だけがランチ営業なんですね。
普段は赤字がでるからやらないけど、
日曜だけは、フロントエンド、関係維持の場として
営業しているんです。
そして、今回の僕がそうであったように、
初めてのお客さんには感動させる体験をしてもらってファンになってもらい、
その後、客単価の高い、夜の営業時間にも来てもらう。
焼肉屋さんは、やはり単価が高いから頻繁に来てもらうことは難しいけど、
低価格のランチ営業を週に1回はあけることで、
常連客との「接触頻度」を増やす。
そして、また夜にも来てもらう。
こういうビジネスモデルを構築しているんだと思います。
店長がマーケティングを意識して作っているのか、
天才肌でたまたまこうなってるのかは定かではありませんが、
この日曜のみのランチ営業が、このお店の収益を生み出す大切な仕組みと
なっていることは確かです。

顧客を獲得するという目的を持つ「フロントエンド」
低価格だからといって、提供に手を抜いてしまう人もいます。

でもそれでは、本末転倒なんですね。
来月も、このお店に妻と食べに行って、美味しいハツとともに、
この店長の手腕を勝手に拝見しに行こうかと考えています。